上顎多数歯欠損症例解説
上顎多数歯欠損症例におけるインプラント治療の注意点や特徴をDr.新谷悟が解説します。
診断時において
- 手術時間を最長2時間以内とする。本症例解説では多数歯欠損を3歯以上として解説をしている。サ-ジカルガイドの使用で手術時間は短くなっているが、上顎の多数歯欠損の場合には、臼歯部では、ソケットリフトやサイナスリフト、前歯部ではエクスパンジョンやGBRなどの骨造成を必要とする場合もある。その点から、手術時間の予測と、それにより手術の範囲を決定することが重要である。
- 個々のインプラント埋入位置の決定は少数歯欠損と同じであるが、骨の幅や高さ、インプラント体相互の距離、歯根との距離を十分に考慮して埋入位置を決定することが重要である。場合によっては、埋入本数を減らしたり、連続した歯牙欠損の場合でブリッジタイプにする場合には最終補綴を十分に考慮した上で歯間部に埋入位置が来ることも選択する。場合によってはカンチレバ-も十分機能する。
- 最終補綴を最重要と考え、骨質、骨幅、高さなども考慮してインプラント埋入位置を決定するが、上顎洞における骨造成を、術者の技術が伴わないことを理由に避けてはならないと考える。患者さんが、知識や技術の未熟な治療医にめぐり合うことで(知識、技術的に高い治療医であれば行える)最善の治療を受けられないことは不幸である。その場合には、上級医を紹介するなどをして、自分が担当した患者さんが最善の治療を受けられるようにしたい。
手術時において
- 多数歯欠損での手術時間については前述したが、手術に当たってはその時間的な焦りは厳禁である。一つ一つの手技を丁寧に正確に行うことのみが手術時間を守れると考える。
- 可動歯肉と固有歯肉の所見とインプラント埋入位置を考慮し、切開が必要と考えれば切開を行う。骨造成において必要な場合には減張切開を行う。口腔外科的な基本手術手技を普段から修練することが大切である。
- 遊離端のケ-スでは、サ-ジカルガイドのたわみに十分、留意する。特に第2大臼歯部では、ドリルがサージカルガイドに入りにくいことがあり(サイドエントリ-もあるがそれでも開口量が少ない患者さんではドリリングに苦渋する場合もある)、そのような場合にサ-ジカルガイドに過度な負担がかかり、たわみを生じることがあるため、十分に注意する。
こういった点を留意したい。
目次
- 上顎多数歯欠損症例
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- 上顎多数歯欠損ケース
- 左側中切歯、側切歯、犬歯部 根尖部嚢胞、第二大臼歯根尖性歯周病症例ケース01 (2017.10.31 - Data up)
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症例ケース01 (2017.10.31 - Data up)
左側中切歯、側切歯、犬歯部 根尖部嚢胞、第二大臼歯根尖性歯周病症例
(50歳代 男性)
(50歳代 男性)
STEP.06
左側上顎中切歯(#21)部:的心ガイド(iCAT)を用い、FINESIA的心サーキュレーションメス(京セラ)を軽く歯肉に押し当て、インプラント埋入部位を歯肉粘膜に印記させ、固有歯肉内にインプラント窩が出ることを確認して、サーキュレーションメスで固有歯肉を切開する。
左側上顎側切歯(#22)部:直径4.2mmのインプラントでは、直径3.4mmサーキュレーションメスで固有歯肉を切開する。小さめのサーキュレーションメスで穿孔すると周囲の上皮細胞や線維芽細胞をドリリングの時に巻き込む可能性を言われる先生もいるが、そのような事例はなく、問題ないと考える。
左側上顎第2小臼歯(#25)部では直径3.7mmのインプラントで、直径3.7mmサーキュレーションメスで固有歯肉を切開する。
骨造成を伴う症例
抜歯即時症例
少数歯欠損症例
多数歯欠損症例
無歯顎症例
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